再会した元不倫相手と豊平川の川面を見つめて泣いていた日

不倫の定義がどんなだかは私には興味がありません。ただ、見かけ上はデリヘル嬢との恋愛関係ですから、不倫ではなく風俗遊びにふける既婚者と言われかねませんが…
だとしても、自己評価でこれは不倫だとカテゴライズする理由は、彼女をデリヘル嬢としてではなく一人の女性として愛してしまったからです。一方で、私は既婚者である。だから、これは不倫。愛華には不倫相手ではなくて、あえて恋人。そんな恋愛感情を抱いていました。

ここからは、不倫相手と再会したときのエピソードについて過去形で書きます。


彼女は札幌で暮らす気丈な女の子。その上、頑固で自分の意思を達成させるための手段は選ばない。だからか、彼女には涙が似合わない。

そんな彼女でも、過去いちどだけ私に涙を見せたことがある。普段「会いたい」「さみしい」を言わない愛華が……。

そもそも、婚外恋愛の関係を続ける二人に、会いたいとかさみしいとかの気持ちを表に出すことはNGであり、必要最小限のデートで互いの〝目的〟を果たすことがスマートな不倫であるはずです。しかし、それでは割り切ることのできない恋愛感情が宿ってしまったのは、よくあると言えばそうなるであろう…婚外恋愛の典型的な過干渉とでも言いましょうか……


――独立したての時は、ほぼ一年中、上海での生活を続けていました。毎日、多忙な日々と異国での新たな発見の毎日に、充実感にあふれ、さらなる成長を遂げた自分の10年後を想像すればウキウキする毎日でした。

しかし、それは何かを犠牲にしなければ手に入れられない「幸福」だったのかも知れません。そのことに気づいた時、無性に「何かを失う怖さ」と「会いたい」の気持ちがこみ上げてきました。犠牲とは、愛華に会えぬことで彼女との関係が自然と失われていく怖さです。

その恐怖を解決するためには彼女と再会するしかない。私は仕事に目途を付け、帰国することを決意しました。

再会して数年ぶりに見る彼女は、以前とは、どことなく雰囲気が変わっていました。

大人になった分綺麗になった。もあるし、彼女特有のもの悲しさがより深まった印象もある。女性は数年も経てば顔つきも色気も別人のように変化する生き物なのかもしれません。不倫関係だった頃から時が流れて再会した今、私は会っていなかった2年間の出来事を、堰を切ったかのようにしゃべり続けました。 そして、恐る恐る彼女に問いかけたのです。
「そう言えば、まだ例の仕事やってるの?」
「義男ちゃんと最後に会った日、覚えてる?」
「最後…? ホテルだったね」
「そう。その日で辞めたんだ。だから、義男ちゃんは私の最後のお客さんってわけ…」
「じゃ、今何やってるの? 」
なんと、彼女はデリヘル嬢の仕事を辞め、本屋でアルバイトをしていた。訳もなく、ホッとした気持ちになった私は、視点を変えれば〝都合のいい男〟だったかもしれない。それから、本屋での出来事や普段の生活のことなど、どれだけ時間が経ったかわからなくなるぐらい、いろんなことを話した。

ひととおり彼女が話し終わると、突然、涙声でこんなことを言い出したのだ。
「義男ちゃんがガンバル! って言ったから私も頑張れた。アリガトウね! 」
「どうしたの急に、アリガトウって? 」
そして彼女は突然こみ上げる感情を抑えきれないかのように泣き出した。
「あいたかったよ…ずっと会いたかった、毎日会いたかった。ズルいよ! 自分だけ勝手に頑張るって決めてさぁ、遠くに行って、連絡も……」
「そうだよ、ズルいんだ俺は。でも、愛華だってずるい」
「なんでさぁ? 」
「だって、本当は会いたかったくせに、今まで会いたいって言ってこなかったじゃない? 」
「自分だって……」

再会するまでの今日まで……慣れない仕事をして環境も変えて、きっとつらい思いや、悔しい思いを抱えながら頑張ったのだろう。そして、その時の情景が、話すことによって彼女の頭を駆け巡り、居たたまれなくなり2年間の我慢が涙で流れていったのでしょう。

それから30分ぐらいだろうか? 愛華はずっと泣いていた。夕暮れ近い豊平川の河川敷で。
そんな二人はもう、誰が見ても情緒深く川面に向かってうつむく恋人でしか見えない二人でした。恋愛なんて、きっかけがどんなに低俗なものでも尊く青い愛に成り代わる可能性は大いにあると感じました。たとえそれが、デリヘル嬢とお客との関係であっても、男が女に惚れ、女が男に心を寄せれば…それはれっきとした愛なのです。

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