愛情
久しぶりの愛華の家は、相変わらずスッキリとした空間を維持していた。 極力物を置かずにいて、必要最低限の物ばかりが目に付き毎日念入りに部屋掃除をしている事を伺わせる。 それは、愛華らしいと言えば、そうなんだが・・・ 私は、この部屋を見ると不安が頭を過ぎる事もある。 何故ならば・・・ 物を置かずに、キチンと整理されている分、いつでもこの部屋を出てどこか私の知らない所に行ってしまうのでは? そんな、不安な気分にさせるからだ。 「愛華は、俺の知っている女の子と違って、あまり物を置かないんだね?」 「俺の知ってる女??どの女さ??」 「あくまでも一般論として言ったの」 「そう・・・・。いつでもこの家を出て行ける準備はしようと思って。 それに、ゴチャゴチャと物を置くと落ち着かないし」 全く愛華らしい回答だった。 「最近、ちょくちょく仕事の用事で札幌に来るけど、取引先でもあるの?」 「無いよ。それに、日本ではクライアントも増やすつもりも無いし。 でもね・・・・いや、未だ言えない」 「何ぃ??気になるじゃない?」 「来年にでも分るよ。」 「またサプライズ?ズルイよ、自分だけで楽しんで・・・ 義男ちゃんは未だ私の事を信用してくれてないの?」 瞳に表情のある愛華は、まるで遠く一人置き去りにされたかの様な辛く悲しい目をした。 慌てた私は、その瞳の表情の真意を捉える事が出来なかった。 「何で??どうして??」 「だって、未だ私に言えないって事は信用してないからって事でしょ?」 「違うよ、ただ純粋に驚かせてあげようかと思っただけ! それに、楽しみや喜びは後に取っておく方がイイと思わない?」 クスクスと小さく笑い出した愛華は 「・・・何を必死になってるの?結構単純だけど可愛いね、その性格は。義男ちゃんは私の言葉一つ一つに必死で考えて答えてくれるから好きよ」 「だって、真剣に自分の事を好きで居てくれる人には、真剣に話を聞かないと・・・」 「そこが大好きな理由の一つだよ」 人を愛するにはキッカケなくしては、その後の感情は生まれない。 しかし、向かい合う時間を重ねる度に『あなたへの愛情の理由』を定義付けしたくなるのは何故なのだろう・・・・? きっと、確固たる愛情の確証や、愛し愛される事のワケを実感し心を満たしたいと願う人...