不倫相手を妻よりも愛す…
不倫恋愛の過去のお話…
夜中の2時頃にメールが入った。
相手は愛華だった。
『今、札幌駅に居るけど寝てる?』
私は札幌駅の真横にあるホテルに宿泊していた。今回の出張は滞在日数も1日だけだし
翌日には大事な交渉が控えていたので愛華には連絡をしていなかった。
上海から直行便で札幌に来てからは、社の人間とも、まともに会話すらしていなかった。会社のメンバーはススキノに食事に行ったが、私は一人ホテルの一室にこもると、2台のノートPCに向かい、明日の交渉のシュミュレートや相手会社の情報分析をしていた。
いつものことだが、大事な交渉等の前日は、誰にも会いたくない、食事もしたくない気分に陥る。そんなタイミングではあるが、愛華からのメールなので、正直言って無視!!とはいかず、すぐに会いに下まで降りていきました。いえ…じつはうれしくてすっ飛んでいきました。子供の心のように、大好きな人が会いに来てくれたから嬉しい! 不倫なんて薄暗いイメージしかない…ってこともないですよね。
ホテルのエントランスと言えども、真夜中の二時には誰の姿も見かけない。物音一つしないその場で、私は愛華の細い体をギュッと抱きしめると長い長いキスをした。
息が切れそうになってようやく離れた二人は、ふと正気になって会話を始めた。
「来るなら連絡ぐらい、って言っても明日大変なんでしょ?」
「大変って、何で知ってる? それよりここにいること誰から聞いた?」
「副社長の山下さんから連絡貰って一緒に食事に行ってから、飲みに行ってきた」
「そうなんだ…」
「山下さんが、義男ちゃん、凄く無理してるって言ってたよ。心配かけたらダメだよ」
「今無理しないと、成功しないし」
「いつか私が言った言葉、気にしてるの? だから、そんなに無茶してるの?」
「俺は愛華との約束を破った。違う人と結婚して一人で幸せになろうとした。でも、愛華は、そんな俺でも信じてくれてる。だから、もう一つの約束だけはどうしても守らないと」
「どこまで出世したら満足? 100億稼げばいいの?大きい会社造れば満足? 大金持ちになれば出世なの? そうじゃないでしょ、あなたの目標って?」
確かに、そうじゃなかった。一通りのモノは手に入れたが、途中で何かを見失ってる気もしていた。
「少し落ち着いて考えてみて。私たちの今後のことや自分の将来も…それまではお互い会うのよそうか?」
私達の今後? いったい何がこの先あるのか? どんな未来があるのか? あるとすれば「今と同じ現実」だけだろう。私自身が何かを捨てなければ、新しい未来は手に入れることは出来ないだろう。それは妻と離婚すると言うことだろう。愛華は妻以上に、私を心配してくれている。私も妻以上に愛人を愛しているに違いないだろう。
だからこれを不倫とは言わないはずだ。利権のためにした結婚なんて義務でしかなく、私にとっての愛とは俗に言う不倫かもしれない。されど、愛。それが私にとっての真実だと思う。
「これからの出張、気を付けて行ってきてね、バイバイ義男ちゃん」
「うん……」