愛人である彼女の気持ちを盗み聞きした夜
とある会社の創立パーティーに参加してきました。当然のことながら、財界人をはじめステータスのお高い人々が多く出席されていましたね。
ちなみに、このパーティーには毎年呼ばれるんですが、ほとんど名刺交換の場と化してます。それで、世の中の不景気はこの場には無縁であるようでして、豪華な食事とセレブな人たちの景気のイイ話で華やかに時間は過ぎていきます。
パーティーの後、プライベートの時間が空いたので、元麻布にある行きつけのBarに向かったのです。いつもの定席に腰を下ろすと、店員がコースターを2つ置いてくれました。
「今日は一人なんだけど…」
「珍しいですね、お一人だなんて…」
「え? ゆっくり誰かと来ることなんて多分ないと思うけど」
でも、明らかにコースターを2枚出してきたのだから、店員にすれば2人で来店している印象が強いのだろうか?
「はて……誰と来たんだっけ?」
そんなことを考えながらハイボールを口にしていた。
30分が過ぎた頃だろうか、店のドアが開き5人グループがに賑やかに入ってきた。
ひとり飲みで暇だったせいか、彼らがこの店に来た理由について少し推理してみた。明らかにサラリーマンの2次飲みって感じがしたが、女性が2人居たため「今日はおしゃれなBarに行こう!」ってことになった。それとも、あの良くしゃべるオトコが2人のどちらかに気があるのか? などと推理していた。
目をぱちくりさせながら、もう一度その女性を凝視してみるが間違いない。彼女は私のれっきとした愛人、恋美に間違いない……。
こんなことってあるのか?
いやあるのだ、なぜなら、目の前に存在する事実なのだから……
けれども、ここで私は、ある行動に出たのだ。それはしごく単純な行動…知らぬ顔をして彼らの会話に聞き耳を立てることにしたのだ。
「恋美ちゃんって、彼氏いるの? ちなみに俺は彼女いないんだ」
「ちゃんとした彼氏はいません」
「ちゃんとし彼氏……ってことは、好きな人がいるとか?」
「ハイ」
「告白したの?」
「何気なくしてみました。でもカレ、いろいろと忙しいし、私だけを見ることって難しいと思うんです」
「忙しさに逃げる男はダメだな!そんなヤツに限って仕事も出来なくて出世もしないんだってば! そんなオトコ忘れちゃえ!」
仕事が出来ない? 出世も出来ない!? なぬ……? まっ、べつにいいけどさ!
「彼は出世したと思いますよ。でも、彼が出世した分、だんだん私から遠のいていくような気がして…」
「じゃ、その彼を忘れて俺と付き合ってみない?」
「たとえ、○○さんと付き合うことになっても、私は○○さんのことを好きになる努力はしないと思います」
「恋愛って努力するもの?」
「相手を理解する努力、好きになる努力って、多からず少なからず皆さんしてると思いますよ。ただ、自分がその人を好きだってことが前提ですけど」
「俺のことは好きになれない?」
「無理だと思います、ゴメンナサイ」
「彼は恋美ちゃんがそんな思いを抱えてるってこと知らないないと思うよ」
「知ってるはずです。だって愛してくれてますから。それが証拠だと思いますし、私にとってはカレに会えることが努力した〝ごほうび〟みたいに思ってます」
「その恋愛、俺の立ち入る余地はないってことだね」
「………」
彼らの話を盗み聞きしていて、照れと勝利の交ざった気持ちでした。私と恋実との関係は明らかに愛人に他ならないのですが、離れていても信じ合える、まるで強い恋愛関係で結ばれた二人のようです。もっとも、そういう気持ちになることは既婚者である以上〝男のずるさ〟でしかないのですが。
とは言え、なにか思わぬ場所で、思わぬ形で、彼女の気持ちを聞かされた感じでした。しかも、しっかりとした口調で。
会うたびに優しい言葉で包んでくれる。会うたびに微笑んでくれる。そんな彼女だから、会うたびに好きになるのかもしれない。
ちなみに、このパーティーには毎年呼ばれるんですが、ほとんど名刺交換の場と化してます。それで、世の中の不景気はこの場には無縁であるようでして、豪華な食事とセレブな人たちの景気のイイ話で華やかに時間は過ぎていきます。
パーティーの後、プライベートの時間が空いたので、元麻布にある行きつけのBarに向かったのです。いつもの定席に腰を下ろすと、店員がコースターを2つ置いてくれました。
「今日は一人なんだけど…」
「珍しいですね、お一人だなんて…」
「え? ゆっくり誰かと来ることなんて多分ないと思うけど」
でも、明らかにコースターを2枚出してきたのだから、店員にすれば2人で来店している印象が強いのだろうか?
「はて……誰と来たんだっけ?」
そんなことを考えながらハイボールを口にしていた。
30分が過ぎた頃だろうか、店のドアが開き5人グループがに賑やかに入ってきた。
ひとり飲みで暇だったせいか、彼らがこの店に来た理由について少し推理してみた。明らかにサラリーマンの2次飲みって感じがしたが、女性が2人居たため「今日はおしゃれなBarに行こう!」ってことになった。それとも、あの良くしゃべるオトコが2人のどちらかに気があるのか? などと推理していた。
ひととおり、私なりの勝手な推理が終わった時に異変に気づいた。5人グループのうちの女性二人、そのうちの一人がが私の愛人「恋美」だったのだ。
目をぱちくりさせながら、もう一度その女性を凝視してみるが間違いない。彼女は私のれっきとした愛人、恋美に間違いない……。こんなことってあるのか?
いやあるのだ、なぜなら、目の前に存在する事実なのだから……
けれども、ここで私は、ある行動に出たのだ。それはしごく単純な行動…知らぬ顔をして彼らの会話に聞き耳を立てることにしたのだ。
「恋美ちゃんって、彼氏いるの? ちなみに俺は彼女いないんだ」
「ちゃんとした彼氏はいません」
「ちゃんとし彼氏……ってことは、好きな人がいるとか?」
「ハイ」
「告白したの?」
「何気なくしてみました。でもカレ、いろいろと忙しいし、私だけを見ることって難しいと思うんです」
「忙しさに逃げる男はダメだな!そんなヤツに限って仕事も出来なくて出世もしないんだってば! そんなオトコ忘れちゃえ!」
仕事が出来ない? 出世も出来ない!? なぬ……? まっ、べつにいいけどさ!
「彼は出世したと思いますよ。でも、彼が出世した分、だんだん私から遠のいていくような気がして…」
「じゃ、その彼を忘れて俺と付き合ってみない?」
「たとえ、○○さんと付き合うことになっても、私は○○さんのことを好きになる努力はしないと思います」
「恋愛って努力するもの?」
「相手を理解する努力、好きになる努力って、多からず少なからず皆さんしてると思いますよ。ただ、自分がその人を好きだってことが前提ですけど」
「俺のことは好きになれない?」
「無理だと思います、ゴメンナサイ」
「彼は恋美ちゃんがそんな思いを抱えてるってこと知らないないと思うよ」
「知ってるはずです。だって愛してくれてますから。それが証拠だと思いますし、私にとってはカレに会えることが努力した〝ごほうび〟みたいに思ってます」
「その恋愛、俺の立ち入る余地はないってことだね」
「………」
彼らの話を盗み聞きしていて、照れと勝利の交ざった気持ちでした。私と恋実との関係は明らかに愛人に他ならないのですが、離れていても信じ合える、まるで強い恋愛関係で結ばれた二人のようです。もっとも、そういう気持ちになることは既婚者である以上〝男のずるさ〟でしかないのですが。
離婚はしない、愛人以上の関係にはならない。それでいて、彼女の恋心を束縛したい。愛人を作る男の典型的なズルさは、私にもあるのでしょうね。
とは言え、なにか思わぬ場所で、思わぬ形で、彼女の気持ちを聞かされた感じでした。しかも、しっかりとした口調で。
会うたびに優しい言葉で包んでくれる。会うたびに微笑んでくれる。そんな彼女だから、会うたびに好きになるのかもしれない。