会うたびに金を使い痩せてゆく自分を哀れと思ったか…

あれは札幌に来てから1年後のことだったと記憶している。ベッドの中で、愛華が私に大切な話があると言ってきた。いつに無く、無表情な顔で……。

「もう、こんな形で会うことが出来なくなったの。だから、今日でサヨウナラしようと」
そして、愛華は小さな黄色の紙を僕の手の中に渡した。でも、私はそんなモノよりも、愛華の言葉にショックを隠しきれないでいた。
「なんで?もう会えないって、どうして?」
「だって、大きな会社に居るとはいえ、毎回こうして会っていると貯金できないし、欲しい物だって買えないよ。少しは自分のコト考えようよ。ねェ、お願い。」

たしかに……愛華と会うには指名料込みで3万5千円+延長料金2万円の、計5万5千円とホテル代がかかる。結果、貯金に手を付けたのも事実、ここ数ヶ月まともな食事すらしていないのも事実。愛華は、私と体を交える度に痩せていく私の変化に気づいていた。

「男……出来た?この仕事辞めるの?」
「違うよ」
「だったら、俺、お客だから指名する。指名したら来ないとならないし……」

その後、愛華は何も話さず黙って私の服をハンガーに掛け。鏡に向かうと、化粧を整えて帰り支度をした。
「じゃ、時間だから帰るね、今までアリガト。」
呆然とした私を小さな部屋に残して、愛華は出て行った。そして、その後、「お客」と「デリヘル嬢」という関係で愛華と会うことは無くなった。

小さな手紙にはこんな事が書いてあった。「今度、会う時があれば普通から始めない?」 そして、自宅の電話番号も書かれていた。でも、私はすぐには電話を掛けずにその小さな手紙を財布の奥にしまった。

実際に愛華と連絡取ることになったのは、最後に会ったあの日から、半年後だった。何故なら、大きな仕事を任され、中国の上海市へ赴任する事が決まったからだ。

いつか愛華が言った「義男ちゃん、自分ために出世してね」その言葉を身をもって実行してからでも連絡を取るのは遅くないと判断したから。
そして、大切な人と新たな再会への期待と覚悟を胸に上海へ旅立った。

半年間、自分の出世のたたき台である海外赴任にもまれながら、胸を張って彼女と再会することを胸に刻み込んだ。

このブログの人気の投稿

不倫を終わらせたくない 愛人を失いたくない

不倫相手を妻よりも愛す…

愛人体質の恋実との出会い 彼女の欲しいものは愛人との二重生活